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東京都杉並区議会議員選挙における投票マッチング(ボートマッチ)の中止を受けたコメント

23.02.16[お知らせ]

2月15日、杉並区選挙管理委員会(以下、杉並区選管)より、杉並区議会議員選挙投票マッチングの中止が発表されました。

イチニ株式会社(以下、弊社)は、杉並区選管からの依頼で投票マッチングシステム作成業務委託を受注しておりました。一方で、過去の国政選挙や地方選挙においてメディア企業と投票マッチングを独自に実施してまいりました。

中止を受け、杉並区選管からの受託事業者として、また、民間でボートマッチを推進してきた一事業者として、以下にコメントをさせていただきます。

杉並区選管が中止の根拠に挙げた2023年2月14日付けの総務省事務連絡では、選挙の管理執行を行う選挙管理委員会が主体となってボートマッチを提供することは、「公職選挙法に抵触する可能性がある」などと指摘されています。

一方、同通知では民間団体が主体となって行うボートマッチ事業は「直ちに規制されるものではない」との見解も示されました。

弊社では、こうした見解が総務省より全国の都道府県選管に通知されたことを重く受け止めております。

まず、杉並区選管による事業を請け負った事業者として、杉並区議会議員選挙投票マッチングの実施に向けて多大なるご協力を賜りました区民の皆さまや、自治体関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

ボートマッチ発祥の地であるオランダや、ドイツでは公的機関がボートマッチのサービスを提供しています(※注1)。80%前後の投票率を長年維持しているオランダでは、ボートマッチの使用回数が2021年に780万回に上った(※注2)とのデータもあり、国民の間に広く浸透したシステムとなっています。今回の通知によって、国内での選管によるボートマッチは事実上認められないこととなりました。

しかし、杉並区選管が投票率低下に真摯に向き合い、杉並区民の皆さまが参加する投票率アップ企画委員会や、杉並区議会で議論が交わされました。こうした過程で挙がったご意見はいずれも、投票率の向上や有権者の参政意識を高めるために貴重なものだったと考えております。有権者と向き合いながら投票率向上に日々取り組まれる自治体関係者の皆様には、民間の立場で投票率向上を目指しております弊社として、改めて敬意を表します。

弊社がこれまで実施してきた「投票マッチング」において、主な利用者層は20代〜40代でした。オランダの先行事例からも、ボートマッチは若い世代の投票率低下を食い止める有効なシステムになる可能性があります。

今回の総務省通知を踏まえ、弊社では今後も民間団体やメディアの皆さまと共同で「投票マッチング」をすすめてまいります。また、弊社が運営しております「選挙ドットコム」においても、投票率向上を目指し、有権者のためにさまざまな選挙情報を提供していく所存です。

※注1:オランダでは自治体や教育機関などと連携して主権者教育や討論会の開催などをしている公共団体の「プロデモス」が実施。ドイツではナチス政権時代の反省から設立された民主主義教育を行う「連邦政治教育センター」が主体となり、国と民間会社がシステムを作り、設問は学生ボランティアが考える仕組みを構築しています。

※注2:2021年に行われた、日本の衆議院にあたる第2院の選挙での使用回数。オランダの有権者数が約1330万人、投票率が80%前後であることを考えると、非常に多くの有権者が使用していると言えます。

イチニ株式会社

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