21.02.24[採用]
イチニ株式会社では国内最大級の選挙メディア「選挙ドットコム」、YouTubeチャンネル「選挙ドットコムちゃんねる」の運営のほか、政治家と有権者をつなぐ様々な取り組み、行政・メディア向けサービスの展開を行っています。
今回は長年にわたって川崎市選挙管理委員会事務局で選挙のスペシャリストとして選挙管理実務に携わり、現在は一般社団法人選挙制度実務研究会代表理事として全国の選管に選挙管理実務のサポートを行い、イチニ株式会社(以下、イチニ)にも様々な面から顧問の立場で助言を行っている小島勇人氏に編集部の横尾がインタビューを行いました。
―横尾
本日はどうぞよろしくお願いいたします。川崎市の選挙管理委員会にて38年、その間自治省選挙課の勤務を経て、事務局長を最後に退職の後、選挙管理アドバイザーを務められ、現在は一般社団法人選挙制度実務研究会の代表理事をされている小島さんには「顧問」という立場からイチニをサポートしていただいています。普段はどのようなことをされているのでしょうか?
―小島
選挙制度実務研究会(以下、研究会)では一言で言えば全国の地方公共団体の選挙管理委員会事務局が直面した選挙実務における課題について相談があったときに、これまで研究会が培ってきた経験や様々な事例を基づいて、課題をどう実務的に解決するのかを助言・サポートしています。
選管から受ける相談は多岐にわたり、選挙・選管に関わることほぼ全てについてといってよいでしょう。具体的な例は枚挙にいとまがありませんが、最近ですと新型コロナウイルス感染症の流行下での選挙の投票・開票における感染症対策のポイントは何か、候補者が選挙人にマスクを配布することは許されるのかといった問題や、選挙が無投票になった際にポスター掲示場に貼られたポスターはどのようなタイミングで撤去するのがよいのか、あるいは無投票になった際の選挙運動用自動車の費用の2日目以降の公費負担はどうすべきなのか、選挙運動用通常葉書の取り扱いはどうするのかといった相談がありました。
サポートをする上で常に念頭にあるのは「選挙の適正な執行はどうあるべきか」という点です。相談をされる全国の地方公共団体の選管の方々自身でも一定の判断を持ちつつ、研究会の意見をある種のセカンドオピニオン的に参考にする、といったところもあるようです。
現在イチニには公職選挙法や政治資金規正法など選挙に関する法律についての疑問点や、選管実務や選挙運動・政治活動に関する質問に答える等でアドバイザーのような形でサポートさせていただいています。
―横尾
イチニのどのような点を評価していただいているのでしょうか。
―小島
選挙ドットコムのルーツである「ザ・選挙」やそれ以前から関わりがありますが、「候補者が何を考え、何を発信するか」といった選挙の情報発信のプラットフォームを今日のネット社会に合った形で運営している、という点ですね。
選挙においては情報発信・情報収集がとても重要です。選挙ドットコムでは全国の地方公共団体の選管から候補者や投票率といった情報を集約しデータベースとして運営していますが、そうしたものを地道な作業の上に成立させている企業は他にはあまりありません。
私自身も研究会での選管への助言・サポートをするにあたっては一に事例に関する情報、二に数字に関する情報です。イチニおよび選挙ドットコムが日本全国の選挙に関する情報を常日頃から集め、事業として運営しているのは大変評価できると考えています。
また、政治家の方々のみならず地方公共団体の選管にも「自治体ターゲティング広告」を通じて発信力のサポートをされていますね。18歳選挙権の導入以降、若い人向けの選挙啓発をネットを通じてどう行っていくかも選管にとっての課題の一つです。イチニには今後も様々な面での選挙に関する情報発信やそのサポートに尽力してほしいと思っています。
―横尾
ありがとうございます、今後もよりよい選挙のために有権者・政治家・選管、選挙に関わる全ての方々のお役に立てるよう努力してまいります。
―横尾
今後のイチニに期待していることは何でしょうか。
―小島
現在は「ボネクタ」などを通じた政治家からの情報発信のサポートが主ですが、今後は有権者から政治家への情報発信をより強化して、双方向のコミュニケーションの実現に向けても頑張ってほしいですね。
また、私は総務省の管理執行アドバイザーのほか主権者教育アドバイザーも務めておりますが、高等学校で3年生向けに高校生が知っておくべき公選法の基礎知識に関する講演を行ったことがありますが、イチニおよび選挙ドットコムもYouTubeチャンネルだけではなく、若者向け、あるいは先生と生徒向けに公職選挙法などの選挙のルールの周知に関する活動に乗り出してもよいのではないかと思っています。
更には選挙のコンプライアンスの徹底にも引き続き取り組んでいただきたいです。公職選挙法や政治資金規正法は大変難しい法律です。長く選挙に関わってくると解釈や運用に「自己流」なところが生じそうになってしまうのですが、そうならないために常に意識しているのは「何かあったら法令の原点に立ち戻る」ということです。「○○をやっても何も言われなかったから問題ないだろう」といった我流の考え方は許されません。
イチニの皆さんもインターネットによる情報発信を活用している以上、公職選挙法が定める「ウェブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布」の規定や、ネット選挙運動解禁時の資料などを何かにつけて「初心を忘れない」気持ちで参照していただきたいです。
―横尾
本日はありがとうございました。
この記事をシェアする